ハローグッバイ
クマが手を振ると、彼らは返してくれる。
瓦礫の向こうにいる彼らは、ふっと意識だけ昔に戻る。そして昔の自分と同じ造形のクマを見つけて、懐かしくて手を振る。
そしてまた意識はなくなる。徘徊するシャドウたちになる。ぐにゃぐにゃと去っていく。
最後にシャドウになったのは、センセイだった。
崩れた自分の下半身を見ていつものように笑うと、困ったなと言い切る前にグシャリと崩れた。
粉々になった体から小さなシャドウが未熟な体を引きずって、仲間のところへ這っていった。
クマはそれを見てすこしだけ安心した。仲間がいるなら大丈夫、寂しくない。
クマは早くシャドウに戻りたいと思う。
けれど、こうして手を振ってたとえセンセイ達でなくとも、いや、いつか、そうクマがシャドウに戻る前に、センセイ達が昔あの青い空の下でしてくれたように手を振ってくれるのをクマは楽しみにしている。
クマは今、とても幸せだ