拍手ログ1

5/8~21まで拍手お礼でした。

かもかてで10行くらいの短文です。
どれもED後ですのでご注意ください。たまにレハトも喋ります。

ヴァイル愛情/タナッセ友情/トッズ憎悪/ユリリエ裏切/グレオニー殺害
ルージョン(反転)愛情/トッズ(反転)愛情A/サニャ友情(王位継承)/ヴァイル殺害

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ヴァイル愛情
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アネキウスの恵みの雨の朝。
寝台でもつれあったまま眠りに落ちて、お互いの体の境界が曖昧になったような錯覚を覚える。
昨日のように鮮やかに思い出せる湖での約束が、今も際限なく叶えられているのだという幸福に、ヴァイルは小さく微笑んで、愛しい王配の鼻をつまんだ。

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タナッセ友情…?/女選択
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遠くディットンから送られてきた小包は、かけがえのない友人の新しい詩集だった。
静謐とした紙に連なる彼の情感の波は、昔の棘を失い、悠然と彼の詩を彩る薔薇となった。目を滑らせて、変わらぬ彼に喜びを抱き、いくばくかの寂しさを覚える。
最後まで読み終え本を閉じると、ころりと机に何かが落ちる音がした。見ると、それは指輪であった。首をかしげてそれをそっとしまい、部屋を出る。
台座に刻まれた言葉に気づくのは、一体いつになるのやら。

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トッズ憎悪/女選択
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レハトは夜が似合うとトッズは思った。
未分化の頃はその幼さにどうしても朝や昼の暖かな日なたの下を連想してしまっていたが、こうして暗闇の中で目をこらすと、レハトの白い肌は夜闇に映える。両手に力を入れると、レハトの肌は白く白くなっていってとてもきれいだ。
青白く輝く肌は、空に浮かんだ月のように、トッズの手から離れて行きそうだ。だが、両手を緩めて抱きしめてやれば、レハトは泣き笑いの顔を浮かべてトッズにささやく。どこにも行かない、と。

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ユリリエ裏切
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ユリリエがまた求婚を断ったらしい。一体何人が彼女に想いを告げて断られたのか、ずいぶんとひどい振られ方をされたらしく、しいては私から彼女にとりなして欲しいと鳥文が連日届いてくるほどだ。
ユリリエは、常に私のそばにいる。だからだろう。そのうち、ユリリエが私のそばから離れない本当の意味が知れ渡ってしまうかもしれない。
しかし、今は考えないでおこう。
手紙に鋏を入れる、ユリリエの来訪が待ち遠しかった。

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グレオニー殺害
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こんなことは言いたくないが、グレちゃんが羨ましいよ。
寵愛者様の傷、一生残るそうじゃないか。肩から胸にかけて、ざっくりだったものな。
俺だったらあんな美人とねんごろって時に、あんな傷を見せられたら、萎えるね。
色々理由はあるだろうが、一番は嫉妬だろう。
お幸せに、寵愛者様。一生、忘れられないだろうよ。

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ルージョン(性転換)愛情
(リクありがとうございました)
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後ろで気配がする。調理の手を止めて振り返ると、本を読んでいたはずのルージョンが、じっとこちらを見ていた。こちら、というより、手元――ケーキを。
手が止まっていることに視線を上げたルージョンと、目が合う。一瞬、硬直したのち頬を真っ赤に染めて、口を戦慄かせた。
もうすぐ出来るからねと微笑んで言うと、そんな甘ったるいもん食えるか!と叫んで、身を翻してルージョンは消えてしまった。
どこからかドタンバタンと音が聞こえる。やっぱり、ルージョンのケーキはもう少し厚めにした方がいいみたい。そんなことを考えながら、笑ってレハトは包丁を握り直した。

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トッズ(性転換)愛情A
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「ずっと一緒にいましょうね」
そう言って腕を絡ませてきた彼女は、初めて会ったときのように微笑む。
城から一緒に逃げてもうずいぶん経つというのに、彼女はいまだに私を信用してない。
いじわるで否定すると、あとが怖い。
すぐに返事すると、訝しむ。
最良は、彼女の目をじっと見つめて、その笑みに黙って頷くこと。
すると、彼女は無邪気に笑って唇を私のそれに重ねた。

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サニャ友情(王位継承)
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ちくりと痛みが走った指先に、サニャは笑って布を差し出した。落とした針を拾う。
「上手くならないなあ」
滲む血を布で押さえながら、レハトはこぼした。その横でサニャが見本用の刺繍をすいすいと仕上げていく。
「王様でも出来ないことはあるんでございますね」
レハトは唇を尖らせて、サニャをにらむ。
「そんなこと言うのはこの城でサニャくらいだね」
サニャはまた笑って、レハトに出来たばかりの刺繍をあてがった。
「サニャが言わねば誰が言います」

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ヴァイル殺害
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お前。
お前だよ、何してるの?迷子?
ここの回廊は入り組んでるんだ、だから迷いやすいんだよ。
ほら、案内してやるから、立って。暗いとこで泣いてちゃ、いつまでも帰れないぞ。
あれ。
…それ、額の、…あ。
ああ。そっか。
懐かしいな。
レハト、元気だった?

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